デフレか 2020 6 7
一部の評論家は、「コロナ・バブル」を予想していますが、
はたして、そうなるか。
確かに、各国の中央銀行は、世界を洪水にするほど、
膨大な量のマネーを金融市場につぎ込んでいます。
各国の政府も、大胆な財政政策を実施していると言えるでしょう。
普通ならば、インフレを伴う経済バブルが発生するでしょう。
しかし、今は、新型コロナウイルスの流行という特殊事情があります。
インフレになるか、デフレになるか。
それを判定するのは、需要と供給です。
需要に対して供給が少ないならば、インフレになります。
逆に、供給に対して需要が少ないならば、デフレになります。
ここで、金融緩和は影響しません。
いくら巨大な金融緩和を行ったところで、
インフレは発生せず、単に株式市場が高騰するだけです。
そもそも、株式市場というものは、そういうものであり、
余った金融緩和マネーを吸収する役割があります。
実は、かつて、日本の経済バブルは、
やがてアメリカに追いつくとまで言われましたが、
それほど巨大なバブルだったのに、インフレは発生せず、
インフレ現象になったのは、不動産市場と株式市場だけでした。
今回は、新型コロナウイルスの流行によって、
需要の減少や需要の消失が発生しました。
外出規制によって、消費者が買い物ができなくなったので、
市場から需要が消えたのです。
もちろん、新型コロナウイルスの沈静化によって、
需要が戻ってくるかもしれませんが、
新型コロナウイルスは、人々のライフスタイルを変えてしまった可能性があります。
今後、新型コロナウイルスの第二波がやってくると、
確実にライフスタイルを変えてしまうでしょう。
仮に、第二波がやってこなくても、
今後、給料が減ったり、ボーナスが減ると、
消費者は、節約行動に走るでしょう。
そうなると、需要の減少、つまりデフレの進行となります。
2019年までの世界は、少ない自己資金でも、
銀行借り入れやローンを活用して消費活動や事業活動を大きくするのが、
時代の主流でした。
つまり、消費活動も事業活動も、
てこの原理を使った「レバレッジ」が主流だったのです。
しかし、新型コロナウイルスによって、
経済的な心理は、大きな影響を受けたと思います。
「Rose color」は、直訳すると、「バラ色」ですが、
経済に使えば、「好況」となります。
つまり、気持ちに高揚感がなければ、好況もインフレも起こらないのです。
新型コロナウイルスは、人々のライフスタイルを変え、
人々の心理も変えてしまった可能性があります。
しかし、世の中が、そうならないためには、
金融当局も財政当局も一致団結して、大胆な政策を実行する必要があるのです。
せめて、金融的にも財政的にも世の中を明るくする必要があります。